がんそ(あきばっか〜の踊り手)は、技の千手観音。繰り出される大胆かつ繊細なムーブの数々に、見とれることしかできない。
踊りに全てを捧げてきた男が、ピースサインの音楽とともに踊りだした。
別の何かにコントロールされているかのように、身体をめぐる大きなうねりがつながり続ける。
ポップの達人が、技を極めるとどうなるかを教えてくれる。
身体のあらゆる部位が、同時に、別々の指令を受けてスイングする。
全てが同じでない動きでつながる。
動きの一つひとつが、次の動きの序章へと向かっていく。
パーツが別々に動く。いつの間にか動きがずれて観客の体内時計がゆがむ。
それが心地よい違和感を生む。
どれだけ練習すれば、ここまで筋肉を分けて使えるのか。
ここまで気持ちよく踊れるのか。がんそは神経回路そのものなのか?
答えは見つからない。ただ、がんそのムーブを見たあとには、
感動とともにひとつの真実が残される。
人間はまだ、すべての筋肉を使っていないのだ。
つまるところ、ダンスはセンスなんだとわかる一瞬。(がんそのベストムーブ)
『あきばっか~の vol.13』BEST8第一試合(2:20あたり)
曲名:ガヴリールドロップキック(作品:ガヴリールドロップアウト OP)
効果音のハメは、ハマると気持ちが良いから、みんなが使うところ。
この回はぜひ、がんその音ハメを見てほしい。使う音を見極め、どう踊るかを瞬時に吟味して、最高の状態でお出しする。
腕から音が鳴る、2:35のウェイブはセンスとしかいいようがない。
他のダンサーなら捨ててしまいそうな音の余韻までウェイブに見せることで、我々が知らなかった心地よい世界へと誘ってくれる。観客も、ただただ、驚きの声しか出ない。
しかしその30秒後、彼がTシャツを脱いだ彼の行動に、さらに驚かされる。
どうしちまったんだ。
さっきまで我々を唸らせたがんそは、もうそこにはいない。
いるのは、とけるのなすがままに操作された、一匹の恐竜だ。
戸惑う観客。
だが、意にも介さず、がんそは満面の笑みだ。ただ、心からあきばっか〜のを楽しんでいる。
あきばっか〜のでのがんそのダンスは、いつもより笑顔が多い気がする。
あきばっか〜のに出ることで、がんそ自身も何か得るものがあるのかもしれない。
明るく楽しげな空気は、アメリカのコメディアニメのよう。(がんそのベストムーブ)
『あきばっか~の vol.15』BEST4第一試合(10:25あたり)
曲名:ミラクルカラーズ☆本日も異常ナシ!(作品:三ツ星カラーズ ED)
とけるとしょまとがんそ(しょまはいない)(とける、がんそ)
vs
World Record’s(ASHITAKA(アシタカ)、Ko-suke)
アップテンポなポップ調に、がんその身体も弾み出す。
「音楽が聞こえたら、身体が勝手に踊りだしちゃったよ!」と、聞こえてきそうだ。
本当にこの人は楽しそうに踊る。
自らの目線も自在に使って、リズミカルな動きをさらに強く演出していく。
「ポッピングって楽しいなあ」と、観ているこっちも笑顔になってしまう。
なんだか、がんそに「ありがとう」と言いたくなってしまうムーブ。